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製品 2026/05/08 8:52:09

質量分析の次の競争軸は「前処理の簡素化」と「リアルタイム性」へ

2026年4月、島津製作所はドイツのスタートアップ Plasmion GmbH を子会社化し、質量分析計向けのイオン源技術「SICRIT」を取り込む方針を公表しました。今回の動きは単なる買収ニュースではなく、今後の質量分析分野において「より少ない前処理で、より早く、より現場に近い分析を行う」という流れが一段と強まっていることを示しています。

島津の発表によれば、SICRIT は従来の APCI 法では難しかった領域を補い、複雑な前処理を減らしながら高感度の直接イオン化を可能にする技術です。用途としては、呼気中の疾患マーカー探索、環境中の微量有害物質の監視、食品・飲料の香気成分の非破壊分析などが挙げられています。Plasmion 側の技術説明でも、LC-MS 系へのプラグアンドプレイ対応、室内空気を用いた運用、固体・液体・気体を対象にした柔軟な分析展開が強みとして示されています。

この流れが意味するのは、今後のラボ投資判断が「測れるかどうか」だけでなく、「どれだけ速く前処理負担を減らし、実運用に乗せられるか」へ移っていく可能性が高いということです。研究用途だけでなく、医薬、食品、環境、受託分析の現場では、分析スピード、再現性、操作性、人手不足への対応がますます重要になります。質量分析は高性能化だけでなく、ワークフロー全体の効率化が競争力になりつつあります。

Raman精機としても、こうした動向は日本発の装置力と欧州発の新技術が結びつき、新しい提案余地が広がる兆しとして注目しています。お客様にとって重要なのは、単に新技術を追うことではなく、自社の分析対象、必要な感度、導入後の運用負荷、既存装置との接続性まで含めて見極めることです。Raman精機は今後も、中日両市場の情報と装置理解をつなぎながら、導入判断に役立つ現実的な視点を継続して発信してまいります。